映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 癒えることのない喪失感を抱えて生きるのが人生。切なさと、微かな希望に胸が詰まる傑作。

映画観ました。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

ボストンで冴えない便利屋として働く主人公(ケイシー・アフレック)。トラブル続きの毎日を送っていた。そんなある日、故郷のマンチェスターにいる兄が急死する。故郷に急遽戻る主人公。そこで、兄の遺言を知る。それは、マンチェスターに戻り、甥(兄の子)の後見人になるというものだった。だが、主人公には、どうしてもマンチェスターに帰れない理由があった…
突然の出来事に戸惑いながら、故郷で過去に向き合わざるを得ない主人公を中心に、癒えることのない喪失感を抱える人々の人間模様を描く。人は何かを失った時、人それぞれ様々な行動を取る。怒り、絶望、諦め、冷静…どのような行動を取ろうと、心の空白は実は生涯埋まらない。その空白とともに生きていくしかないのだ。冷静に振舞っている人だって、何かの拍子に心の空白に押しつぶされる。でも、また心を落ち着かせ、生きていく。それが人生なのかも知れない。
強烈に印象的なシーンがある。主人公とその元妻(ミシェル・ウィリアムズ)が道端で出会い、会話するシーン。あまりの切なさと、そこにある小さな希望で、胸が詰まり、涙が止まらない。ケイシー・アフレックとミシェル・ウィリアムズの演技が見事過ぎて、もう他人の会話を観ている気がせず、気づけば、自分ごとのように涙が流れていた。
明快な解決策や希望を表現した映画ではないが、誰もが抱える心の空白に向き合う普通の人々を描くことで、カッコ良くなくたって、上手くいかないことが多くたって、不器用に素直に生きていけばいい、生きるしかないと感じさせてくれる映画。傑作!
勝手な評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(号泣)